デザイン、および会社案内の考察

私たちの共有感覚

行間を演出できるデザインは、見る者に深い影響力を与えます。

何かをアピールするとき、特に自分(自社)の誇りとするものを訴えるときなど、そのことを率直に表現しては角が立つことがあります。

角が立つというのは、争いごとを生じるということではなく、単純に敬遠されると言った方がいいのかもしれません。

特に私たち日本人は、そのような感情傾向を持ちます。

「俺が、俺が!」的な物言いは、多くの場面で煙たがられるのではないでしょうか。

欧米などの個人主義が行きわたった文化では、伝えたいことがあれば、率直にもの申すことが許されます。許されるというより、それなくしてはコミュニケーション自体が成り立たないのでしょう。お互いに言葉を交わさなくとも分かり合えるといった共通の背景(価値観・文化)を持たないことが多いのですから。

私たち日本人はその点「分かり合う」ことができる共通認識が、いまだに欧米人に比して多いのが事実です。

もちろん高度経済成長期のみんなが同じ価値観を持ち右肩上がりの経済成長を標榜するといったような、大きなビジョンを共有できる時代ではなくなりました。

巷で起きるさまざまな現象には不可解なことも多く、私たちが「どこに在るのか」ということが揺らいでいることも事実です。

しかし、それでも私たち日本人にはどこかでつながりを持った「価値の共有部分」が多く残されています。

価値を共有化できる社会が良いとか悪いとかを言っているわけではありません。
ただ、厳然とそういう事実があるということです。

そのようなメンタリティーを持った日本人は、「出る杭は打たれる」ということを端で見ているときにははしたなく思いながらも、当事者になった場合は容認する傾向にあります。

目立ちすぎたり自己主張が強すぎるときなどは、バッシングの対象となるのです。

このような傾向を事実ととらえると、日本人に向けた情報発信の訴求力を高めるには、率直に表現するのではなく、婉曲的に、または言外に最も伝えたいことを埋め込むことが有用になります。

思いを行間に載せて伝えることが、奥ゆかしさを感じさせ多くの日本人に好まれるわけです。

デザインにおいても、情報を直接的に表現するのではなく「行間に意味を持たせる」ように「雰囲気」を演出する表現が好まれます。

「ズバッ」ではなく「ふんわり」というわけです。

特に私がしている会社案内のデザインは、商品やサービスを直接訴求するツールではなく、企業に信頼感を持たせるのに役立てるためのものです。

そのように「企業のブランド構築」を目指すためのデザイン物は、直接的な表現よりもその空気感の演出が重要なのです。

さまざまなデザイン物には、用途によって直球の剛速球が求められるものもあります。

それでさえも、あえて「奥ゆかしく振る舞う」ことは、多くの日本人に共感を得られるのです。

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